<36th> 愛すべき虚像
歌詞
1 疲れた夜 駅前で
君のために 買ったショートケーキ
ごめんね 忘れてた
生クリームが 苦手だったこと
記念日にはプレゼント
いつの間にか選ぶのが苦痛になってた
形に囚われていたよね
心を置いてきたままで
君のためを思って
いたはずだったのに
押しつけになっていたね
「君のことが好きだ」
というセリフが好きか
時々わからなくなるんだ ごめんね
目を閉じて キスをして
目を閉じたまま 君を抱く
恋人同士なのに
向き合っているのに
鏡を見ているようだよ
抱いているのは 虚像で
僕は一人きりだった 嗚呼
君も一人きりだった
2 出会ってから お互いの
ことを知らぬうちに一緒になった
好きになるその前に
好きになること 決めてたように
どこに行くか こだわって
夏休みの絵日記のネタ探しの
ようだった 一緒にいれば
どこでもよかったはずなのに
盛り上がってるようで
自分の話ばかり
まるでカラオケのようだ
「君じゃなきゃダメなんだ」
ずっと言えなかった
本当は他の誰でもよかったとしても
君というシルエットを
愛するように努めてた
恋人同士なのに
向き合っているのに
鏡を見ているようだよ
抱いているのは 虚像で
僕は一人きりだった 嗚呼
君も一人きりだった
コメント
「恋人がほしい」という気持ちを持った二人が一緒になれば、お互いにその欲求が満たされます。しかし、それだけの関係は長く続いても深まっていかないものです。真に相手のことを想った訳ではなく一人称のままだからです。しっかり内面に向き合うことなく、外側を抱きしめる。もはやそれはシルエットとも変わらず、目を閉じていても同じだったのです。形ばかりが先行して、義務感でイベントをこなしていく。それでも、そんな形から入った関係もきっと本物の関係になることができる。そう信じてもいます。